しっかり稼いで、穏やかに暮らす。勝間流おへそのつくり方 Vol.3

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人間は目標を設定したら、
自然にそこに向かっていくんです。
それが「サイコ・サイバネティクス」という考え方。
みんな、設定しないから向かっていかない。
まずは「月に10万円自由にできる小遣いが欲しい」
って設定しちゃうってことです。

自宅の各部屋で、ストレスなくWi-Fiを使うにはどうしたらいいか、いちばん見やすいタブレット端末はどれか……。たったひとつのアイテムを選ぶのでさえ、勝間さんの「最適なもの」の追求っぷりといったら！

「長時間労働を疑問なく行う人たちについて、私は昔の自分への揶揄を含めて『長時間労働を頑張る怠け者』と呼んでいます」（同著）と勝間さん。

「勝間さんだから」という言葉は、もしかしたら、私たちが「自分にできることを探す」ことを怠けている言い訳なのかもしれません。

一日がよりよくなることをひたすら考える……。それは仕事だけでなく、上質な調味料を選ぶのも、体型を維持するための運動でも同じ。勝間さんの腕には、常にスマートウォッチが巻かれています。仕事をしていて１時間以上立っていないと、プルプル震えて教えてくれるので、立ち上がってキッチンへ。ついでにリビングに置いたトランポリンをぴょんぴょんと跳ぶそう。

「食事と生活習慣と睡眠、この３本柱を整えたら、身長158センチで62キロあった体重が50キロに落ち、二度とリバウンドしなくなったんです」

最近ではオンラインジムでしっかり運動しているそう。こんなふうに、決めたことを行動に移す強さは、どうしたら培うことができるのでしょう？　

一日２時間、ひとりで考える。
内省の時間が大切

「たとえば月に10万円自由にできる小遣いが欲しい、と自分で決めちゃえばいいんです。『サイコ・サイバネティクス』という考え方なんですが、人間は目標を設定したら、自然にそこへ向かっていくんです。目標を設定するだけで願いは叶かなう。ただ、みんな設定をしないんですよね」

私たちは「目標」と聞くと、まず自分に「できるか？　できないか？」と考えがちです。

「月に10万円だったら、誰でもできます。10万円あったら、ちょっと洋服を買ったり、美容院に行ったり、おいしいものを食べたり、気持ちよく過ごせますよね。そこを心地いいとちゃんと感じるなら、目指せばいいんです。なのに無理して、我慢して、３万円、５万円でやりくりするから目標が『苦しくて、やりたくないこと』になってしまう。それよりも最初から10万円を目指したほうがずっといい」

今、勝間さんは一日に３～４時間仕事をして、あとの時間は、「考える」か「本を読む」か「人と会う」ことに充てているのだと言います。

私たちは、勝間さんと同じことはできないかもしれません。でも、どうやったら快適に仕事をし、生活をすることができるか、その研究を惜しまない、その姿勢は真似できそう。

「考え続けるために大事なことの一つに『自分一人でいる時間をなるべく長くする。少なくとも１日に２時間以上は自分一人でゆっくりと考えられる時間を持つ』ということがあります。（中略）最も重要なのは、自分の心の内側や自分の経験、あるいは自分の将来について考える内省の時間です」（同著）

勝間さんの日々の習慣は、驚きの連続で、私たちとは異次元の世界の人なのかも……と思っていました。でも、今回よくお話を聞いてみると、その根底にあったのは、自分と向き合って、自分が本当に望んでいることは何？　必要ないのに握り締めているものは何？　とひたすら自分に問い直す、しんと静かで濃密な時間でした。

まだ見ぬ自分に出会い続けること。自分の知らない可能性の海を気持ちよく泳ぐこと。そんな、勝間流のおへそのつくり方のエッセンスを、私たちのふだんの毎日にちょっとふりかけてみたくなりました。

photo：砂原 文　text：一田憲子

『暮らしのおへそ Vol.31』より
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